『AWSエキスパート養成読本』を読んでインフラとアプリの境目について考えた
gihyo.jpでようやく電子版が出たので、『AWSエキスパート養成読本[Amazon Web Servicesに最適化されたアーキテクチャを手に入れる! ]』を読みました。
旧ADSJのパートナー担当の方々とお打ち合わせをしていて、
「ニューノーマル」という用語を耳にし始めたのが2014年。
そして2015年のAWS Summit 2015における長崎社長の基調講演で、
「クラウドはニューノーマルである」と大々的に発表されたのは記憶に新しいところであります。
ニューノーマルアーキテクチャとして紹介されていた特集記事の技術は以下の5つ。
1、モバイルサービス
2、IoTバックエンド
3、APIサービス
4、機械学習
5、Webサービス
強い印象として、「これからはますますアプリが主役だなあ」という点でした。
ますますアプリとインフラの境目がなくなる
基本的に、どのアーキテクチャもインフラはもうアマゾンが提供してくれます、
さあ、みんなコードを書きましょう!というサービスばかり。
インフラっぽいのは、せいぜいElastic Search Serviceぐらいでしょうか。
もう1つの「ニューレガシーなAWSアーキテクチャ」の特集では、
EC2を使ったAPサーバがあったり、ELBで負荷分散の仕組みを構築したりと、
インフラ担当の出番がありますが、
ニューノーマルアーキテクチャの時代になると、
「インフラだけ」やる担当者の出番はなくなりそうな気がします。
このあたり、私は割とインフラ寄りのキャリアを積んできていますので、
今後のスキル形成やキャッチアップを考えると、危機感を感ぜざるを得ません。
もうサーバ立てたんで、あとはアプリチームよろしく、の時代ではないのだなあという印象を深めました。
逆に考えると、インフラはAWSに任せて、サービスを作って価値を生み出す、
楽しい作業に没頭できる時代が来つつあるとも言えます。
ただしニューノーマル、もう少し時間がかかるのでは
AWSの2015年12月期の通期売上高は前年同期比69%増の78億8000万ドル(1ドル=120円換算で約9450億円)、
営業利益は同182%増の18億6300万ドル(同約2230億円)(参照)とのことで、
AWSの勢いは留まることを知らない感じではありますが、
昨今の身近なエンタープライズ系システムの基幹システム刷新の事例を眺めておりますと、
まだまだホスティングに毛の生えたような似非クラウドにAWSがコンペで負けるのを何度も見ております。
要因としては、エンタープライズ系のお客様はオンプレミスにいわば「ハードコード」された
仕組み(Exadataのようなアプライアンス然り、膨大な数のクライアントPC管理然り)をたくさんお持ちですので、
そこも含めて面倒を見てくれる国産ベンダーに、まだまだ強みが残っているようです。
AWSファンとしては悔しい限りですが、「ニューノーマル」が浸透していく潮流はきっと止まらないと思います。
私も、1エンジニアとして、AWSの猛烈なスピードに乗り遅れないよう必死で食らい付き、
お客様に価値を提供し続ける存在でありたいと思いました。
というわけで、良書です。買いましょう。
技術評論社
売り上げランキング: 711